タイトル: 空の王様
文: ニコラ・デイビス
絵: ローラ・カーリン
訳: さくまゆみこ
発行所: BL出版株式会社
ISBN: 978-4-7764-0817-8
「空の王様」を読んで
小学校中学年におすすめの本として、図書館で紹介されていたので借りました。
ふわっとした絵がきれいです。
このお話は引っ越しした男の子が新しい友達に出会うお話です。ここに来る前はローマに住んでいたようでその明るさやにぎやかさを忘れられずにいます。一方ここは鉱山のある町で煙突から煙がたちのぼり、言葉もわからない土地のようです。ぼくがよそ者だと告げられているように過ごしています。
そんな中で、ふるさとを思い出させてくれるハトたち、ハトのレースを教えてくれる老人と出会い、新しい目標ができます。そしてここが新しい居場所だと思うようになります。
新しい居場所を見つけるのは、自分の気持ちを整理する事なんだと思います。場所の事では無いと思いました。
私は何度か引っ越しをした事があるので引っ越しにはうるさいのですが、私がこの男の子と同じくらいの時の引っ越しは人格に大きな影響を与えたと思っています。
新しい土地で新しい友達を作る事は、さほど難しい事ではありませんでした。学校があったので子ども同士の出会いには全く困りませんでした。
ですが、ふるさとがなくなる感覚がとてもつらかったです。特に仲の良かった友達の事がだんだん分からなくなってくる途中がいちばん寂しかったです。日々起こることや話題が合わなくなっていきます。だんだん、どちらからともなく連絡が減っていきます。
私の経験では、新しい土地でよそ者だと言われている気がするよりも、ふるさとからよそ者だと言われている気がする方が多かったし悲しかったです。
この男の子もきっと、本当はそういう感覚があったんだと思います。おそらく本当はハトや老人とお友達になったから、目標ができたらから、ここが居場所だと思ったというよりは、日がたつにつれてローマがもう自分の居場所ではないと感じていたのでしょう。その時にレースのハトはローマからここにいる自分の元に戻ってきてくれます。言葉にできない心を連れて。
新しい居場所は、前を向いて生活する事なんだと思います。どんな場所でも必ず自分の居場所になると思いました。
まだ、ハトにも老人にも出会えていない、新しい居場所を見つけなければならない子供たちには、急がずあせらず、目の前の事ひとつひとつに取り組んでいって欲しいを思いました。
おわり