「はらっぱ 戦争・大空襲・戦後…いま」をよんで

投稿者: | 2021-01-09

タイトル: はらっぱ 戦争・大空襲・戦後…いま
画: 西村繁男
文: 神戸光男
発行所: 童心社
ISBN: 978-4-494-01234-3

「はらっぱ」をよんで

この絵本は図書館で見つけました。表紙がすごく良くて目立っていました。そうしたら西村繁男さんの絵だったので借りました。お家に帰って読んだら面白くて買いました。

お話とそえられた時代の説明と西村繁男さんのこまかな絵は何度読んでも読み飽きないです。大人が読んでも子どもが読んでも、たぶん、においとか音も感じると思います。

1934年ごろ(昭和9年ごろ)から60年間の時代のうつりかわりが、同じ「はらっぱ」を舞台にして描かれています。

満州国を独立させて領土をひろげようとしていた頃から戦後、高度経済成長期、そして現代までの時代の大きな流れと町でくらす人々の姿は、確かに大きく変わっていますが、人の営みは変わらないものだなと思いました。

いまから20年くらい前の絵本なので、この絵本の「現代」からすると今は未来だと思います。

残念ながら「はらっぱ」で思い切り遊ぶ子どもと嬉しそうなおとしよりは見かけません。でも、「はらっぱ」は無いけれど、昔からある大きな公園が整備されて明るくなり、制約はあるけれどもお散歩するにはちょうど良いような場所が20年前よりはいくらか増えた気がします。

人々はどうであれ、日々、その町でそれなりに生きているのは今も昔もないですし、こと現在は新型コロナウイルスの流行で働き方や暮らし方や遊び方も大きく変わり、また政治に振り回され激変の時代にあると思います。いえ、そもそも超少子高齢化、格差社会、異常気象などなど問題は盛沢山です。その生活が永遠に続くなんて事はないんだなと思います。

自分なりの最後の「現代」ページを思い浮かべてみます。

「はらっぱ」は「芝生養生中」のロープで区切られてはいるけれども、お父さんと小さな子がビニールのボールで遊ぶくらいのスペースはあり、非常時にはカマドやトイレに変身するベンチが置かれて、きれいに舗装された通路にはベビーカーを押したお母さんが何組かいます。
お年寄りはお年寄り同士おしゃべりしたり、ひとりでじっと座っている人もいます。小学生の子ども達は通過するだけでほとんど「はらっぱ」にはいません。小学生の子ども達は不審者が出るので安全な場所に集められるようになりました。学童保育に行く子ども、学校内の校庭開放に残る子、塾に行く子、お家にいる子、みんなそれぞれ居場所は決まっているけれど、たくさんやることがあるので、毎日がどんどん過ぎていきます。
道路には犬のさんぽをする人やランニングをする人がちらほら。マンションは高くそそりたち、その脇には手入れの行き届かない空き家も見えます。遠くのマンションの一階に「銭湯」の文字が見えます。

こんな感じです。

おわり

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