「やんばるの少年」をよんで

投稿者: | 2020-06-29

タイトル:やんばるの少年
作:たじまゆきひこ
発行所:童心社
ISBN:978-4-494-01245-9

やんばるの少年をよんで

ここは沖縄県のやんばるの森です。自然ゆたかなこの森は、ぼくたちのあそびばです。ある日、森の木が切りたおされて—-

きっと昔の話なんだろうと思い。この絵本を借りました。
でもオスプレイが出てきたので昔の話ではないようです。少し前は基地の移設のニュースをよく見ましたが、ここのところはコロナウイルスの話や政治家や芸能人の不祥事の話ばかりで、沖縄の基地問題はあまり見聞きしません。

このお話はかなり怖い話だと思いました。
作者のことばには「ちょっとやさしい気持ちになってほしい」と書かれていましたが、これを読んで「ちょっとやさしい気持ち」にはなれません。
たぶん作者のいう「やさしい気持ち」は私が思っている「やさしい気持ち」と違うのだと思います。
私が思っていた「やさしい気持ち」は、おともだちありがとうとか、お父さんお母さんありがとう、とか、そういう気持ちです。
でも、書かれているのは、政治や沖縄の事を他人事だと片付けてはいけないのが「やさしい気持ち」なのだと思いました。

このお話にハルコという女の子が出てきます。
この子はおじいさんと暮らしています。ハルコはオスプレイに対して、びっくりするほど反応します。きっと、おじいさんから戦争の話をたくさん聞いてきたのだと思いました。心の底から戦争が怖いのだと思います。

私は、きれいな川の水が汚れる場面が、いちばん落ち込みました。
東京の川の水は少しずつきれいになっている気がしますが、沖縄の川の水は汚されていっているのでしょう。

東京には珍しい鳥がいるのかいないのか、鳥だらけの鳥天国だと思います。
でも、やんばるの森の固有種はすみかを奪われていきます。

東京では引っ越しなんて話題にもならないだろうけど、ハルコの引っ越しは「ぼく」の気持ちにずっと傷が残ると思います。

ハルコのような反応が、本当は本当なのかもしれません。
「戦争はしちゃいけない」と言ったり、想像する事はできても、私はそのために何かできるでしょうか。どこか、「起こらなもの」と考えていないでしょうか。

少しは良いことが起こっても、少しは楽しい事が起こってもよさそうなのが絵本だと思っていたけど、このお話は、とことん心が沈みます。

「戦争はどんなことがあっても しちゃいかん」という、おじいさんの言葉を言い続ける事が、私に今でもできる事なのだと思いました。

おわり


どうでしょう。
私たちロスジェネ世代にとって過去の戦争は過去の物であって、もう起こらないものという感覚はありませんか?

もし、起こったらと考える事はあっても、それが明日かもしれないとは思わないのではないでしょうか。

私の祖母は戦争の話はしない人でしたが、晩年、少し話をしはじめました。疎開先での恨みつらみなど、同じ日本人同士でも助け合いとは程遠い体験をしたようです。

その祖母は、東京大空襲の時期には東京にいましたが、ハタキで爆弾をはたくなどして無傷だったそうです。状況がよくわからないままなのですが、そんな時期にそんなところに居たのに、死体はひとつも見たことがなかったそうです。

一方祖父は、その時期にそこそこ近所に住んでいたにもかかわらず、死体の山の中、足の踏み場もないような場所を歩いて通勤したそうです。通勤っていったいどういう状況だったのか、やはりよく分かりません。

そうなのです、本当に実際に体験した人から話を聞いたところで、状況がよくわからないのです。
それが戦争なんだと思います。

今の子どもたち世代はどうでしょう。
私たちよりも、ずっと、戦争に敏感だと思いませんか?

子ども番組が少ないせいでしょうか。
ニュースでは各国のいさかいや、核の保有などについてよく報じられています。
私が子どもの時には大人はバブルで踊っていて時代としては明るかったと記憶しています。

今の子どもたち世代は、ひたすら不穏なニュースを聞きながら、私たちが後回しにした諸問題について、自分の事として考えていると思います。
その意見を、馬鹿げてるとかあり得ないと、面倒がって取り合ってないのではないでしょうか?

できれば、「戦争はどんな事があっても、しちゃいかん」と、おじいの言葉だけでも返してあげたいものです。

どうか、平和でありますように。

ほんとにおわり。

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