「お話の種をまいて」をよんで

投稿者: | 2020-07-20

タイトル:お話の種をまいて プエルトリコ出身の司書プーラ・ベルプレ
ISBN:978-4-8113-2589-7
作:アニカ・アルダムイ・デニス
絵:パオラ・エスコバル
訳:星野由美
発行所:汐文社

「お話の種をまいて」をよんで

「ラテンアメリカ文化の母」として活躍した女性の伝記です。いまでは、ラテン系の作家・画家のすぐれた児童文学作品に贈られる「プーラ・ベルプレ賞」という賞があるそうです。伝記だけどとてもきれいな絵本です。

プーラはおねえさんの結婚式に参列するために、プエルトリコからニューヨークに渡ります。そして、そこで生きていくことにしました。

私はそれに驚きました。おねえさんはいるのかもしれないけど、知らない土地で知らない人に囲まれて暮らすなんて、その場で決められないと思ったからです。

プーラがニューヨークに渡ったのは1921年。「プエルトリコ」をインターネットで調べてみたらとても複雑な時期だったようです。どういう時代だったのかは絵本では触れられていないのですが、プーラはきっとニューヨークなら同じ思いの仲間を見つけられると思ったのでしょう。それはきっと、国籍や人種に関係なくです。

プーラがニューヨークの図書館でまいた「お話の種」は、プーラが幼いころからおばあちゃんに聞かせてもらっていた「プエルトリコの民話」です。
ニューヨークの図書館にプエルトリコの本がないので、自分で書いたようです。
パペットも作って子どもたちに語りつぎます。
この時にもきっとプーラは周りの人と一緒に一歩ずつ前に進んでいたのだと思います。

プーラは本当にお話の「種」をまいて歩いていたのでしょう。そしてそれを育てて花を咲かせてまた種をまいていったのは、きっと仲間や周りにいた子ども達なんだと思いました。

プーラはとても賢くて行動力のある女性です。この絵本を読んでプーラの事をもっと知りたいと思いました。

私はプーラという女性を知らなかったので、初めてこの絵本を読んだ時には「どうしてお話の種をまこう」と思っていたのか、話が急でついていけませんでした。

でも何回か読むと、もしかしたらお話は「種をまくもの」なのかもしれないと思えてきます。
プーラが種をまかなかったら、お話はいつか消えてなくなってしまったかもしれません。たぶん、プエルトリコの民話はそうだったのでしょう。

日本にもたぶん、そういうものはあると思います。
語り継ぐことや、それが幸せな時間ならそれこそ、自分の持っている種はまけるだけまいておこうと思います。

変な感想かもしれませんが、やっぱり、自分の持っている種は、まけるだけまこう。と、思います。

おわり

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