- タイトル:クリスマスのちいさなおくりもの
- ISBN:9784834025798
- 作:アリソン・アトリー
- 訳:上條由美子
- 絵:山内ふじ江
- 発行所:福音館書店
※感想文につき、少しばかり引用する箇所や、内容に触れますので、ネタバレお気になさる方は読まないでください。
「クリスマスのちいさなおくりもの をよんで」
「クリスマスの絵本、何かないかな。」と、本屋を巡りながら過ごしていた時、この絵本に出合いました。赤や白の表紙の絵本が多い中、青系で少し目立っていました。ネコとネズミの優しい絵にすっかり魅了されて、これも「ジャケ買い」と、言えるかも知れません。
文章と絵のあたたかみや優しさが、1ページ目から溢れていて、何度も読んだ、何度も読んでほしいと言われた本です。毎日読んでも、幸せな気持ちになれるので、一冬毎日読みました。
このお話は、クリスマスイブだというのに、クリスマスの準備がなにもしていないお家が舞台です。お母さんが病気で入院してしまっているのです。
家に残っているのは、お父さんと男の子と女の子、そしてネコとネズミです。
お父さんはふさぎこんでしまっていて、とてもクリスマスの準備なんてできる気分では無かったようです。お父さんは子ども2人を抱いて眠ってしまっています。
この描かれ方がとても好きです。ふさぎこんたお父さんが描かれているのでなく、子ども2人を抱いて寝ているのです。お父さんの心の支えとなっているのでしょう。お母さんが居なくて不安な気持ちを3人で分け合っているようで、でも明日も乗り越えていけるだろうと感じさせてくれます。
そこで、ネズミから物言いがつくのです。「クリスマスの準備ができていなじゃないか。ネコさんなんとかしてください。」と。
ネコはすでに寝ていたものの、ネズミを従えてクリスマスの準備にとりかかります。
この時のネコの最初の行動が「こどもたちのくつしたを取って来ておくれ」と、こどもたちの喜ぶ姿が「クリスマスの光景」であることを想像させてくれます。ネコは何年もそういう光景を見てきたことが分かります。今年は自分が実現しようとしています。
そうして、ケーキを作ったり飾りつけをしたり、いよいよサンタクロースがやってきます。
サンタクロースは用意されてる「こどもたちのくつした」にオモチャを詰め込んで、それからお手伝いをした動物たちにもプレゼントをくれます。サンタクロースの言葉ひとつひとつが「知っていて来た」かのように暖かいのです。
「さあ、クリスマスだ。どんなに ちいさな つつましい
ものたちのことも、わすれてはならないぞ。
さぁ いこう、トナカイたちよ!
さあ かけろ、さあ かけろ!
クリスマスの よい しらせを つたえに いこう!」
サンタクロースは、わたしたちが知っているとおり暖炉から現れ、そしてトナカイのひくソリにのり、夜空に駆けていきます。
サンタクロースの声、鈴の音、冬の夜の静まり返った空気、お父さんとベッドに入りながら「サンタクロース来てくれるかな」と眠りについた、こどもたちの姿。目に浮かびます。
翌朝のお父さん、こどもたち、ネコさんの姿を見れば、今日からも「きっと大丈夫だ」と思えるに違いありません。
おわり
この絵本は、おすすめです。
よんであげるなら4歳から、自分で読むなら小学校初等むきと、あります。
たまたまですが、一冬読み続けたのは4歳でした。今、小学校一年生の息子は自分で読みながら、「この本、何回も読んだねぇ。」と言ってニコニコしています。
良い絵本は他にもありますが、我が家にとって一番の思い出の絵本になると思います。
美しい文章と絵、期待をうらぎらない素直さと驚きのあるお話です。ぜひ、みなさんのお宅の本棚に。
そして、思い出話ですが、
「この絵本に出てくるケーキを作ってくれ」と、我が子に言われました。
こういうのは「ビジュアル命」だから、さんざん悩んで、、、「炊飯器でホットケーキミックスのホットケーキ」を炊きました。アーモンドスライスを少し敷いて。。。
そのころ、我が家にはオーブンも無ければ、キッチンの作業スペースもなく。でも、ふわっと黄色いケーキを我が子と作り、大満足していました。(味もホットケーキなのでまぁ。ね。)
実は、ミンスパイの方もオーダーされたのですが、ちょっとビジュアルを完全に再現できる自信がなかったので丁重にお断りしました。
ほんとにおわり
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