タイトル: ここが家だ – ベン・シャーンの第五福竜丸
著者: アーサー・ビナード
絵: ベン・シャーン
出版社: 集英社
ISBN: 4082990151
ここが家だ – ベン・シャーンの第五福竜丸をよんで
第五福竜丸はアメリカがビキニ環礁で行った水爆実験に巻き込まれた船です。焼津からマグロ漁に出た漁師さんたち乗組員23人が被ばくし亡くなった方もいます。
現在は夢の島に保存されています。私も少し前に見に行きました。たまたま散歩中に「第五福竜丸展示館」があったので入ってみましたが、思いのほか多くの若い人が居ることと内容の重大さに驚いた記憶があります。
この絵本のあとがきから引用します。
人類がこれまで「核の冬」を回避し、絶滅に至らなかったのは、核兵器の使用を断固許さない市民の意識によるところが大きい。しかし現在、小型核兵器の新たな開発が進められ、21世紀の戦争でそれが使われる危険性は、高まりつつある。そんな愚行を断固許さない市民の意識が、今後ますます大事になってくる。
ここが家だ – ベン・シャーンの第五福竜丸(集英社) 石に刻む線アーサー・ビナードより引用
最近何かで若い女性がこんなような事を言っていました。
「戦争をしてはいけない、と言えないかもしれない。」と。
おそらくロシアからの侵攻を受けているウクライナを思って言っていたのだと思いますが、それではあなたは戦地に行きますか?と思います。
ウクライナの人たちは住む場所を奪われています。だから戦争をして良いのでしょうか。ちがいます。戦争はしてはいけないのです。どうやって終わらせようと言うのでしょうか。
私は物わかりが良くて良い場合と悪い場合があって、戦争に関しては頑なに「してはいけない」を貫かなければいけないと思っています。
そして ひとびとは かんがえはじめた
ここが家だ – ベン・シャーンの第五福竜丸(集英社) より引用
いっぺんに なん百万人も ころせる 爆弾を
いったい どこで つかおうと いうのか。
私はこの本を読んで「家」を壊すのはいけないと思いました。お家って大事なんです。人のお家も生き物のお家も全部ひとつひとつ大切で、すべて何代にも渡りつながっています。
ひとびとは わすれやしない。この本の最後の言葉です。
戦争を知らない世代であっても「戦争はしてはいけない事」というのは忘れてはいけません。
「断固許さない市民」である事が大切な家を守る最後の砦だと思います。
第五福竜丸展示館にいた若い人たちは、必ず忘れないでいてくれると思っています。
おわり。
第五福竜丸は木造の船で、あの船で遠くまでマグロを獲りに行っていたのか。
と、それだけで人々の命の重みを感じる展示館でした。
1954年3月1日、サンゴの「死の灰」をどのような気持ちで見上げたのでしょう。
とても昔の事のように思いますが、まだ70年も経っていないのですね。
きっと乗組員の方々は、その場で「かなりマズい事が起きた」とすぐに分かったと思います。
ぜひ訪れていただきたい場所です。
ほんとにおわり。