タイトル:秋
著者:かこさとし
出版社:講談社
ISBN:978-4-06-523962-9
子どもたちの未来を考えるすべての皆さんに、天国のかこさんからの贈り物です!
講談社 「秋」内容紹介より引用
「秋」を読んで
戦闘機と落下傘、見上げる人の姿、美しい秋の空と秋よりも暗い街並み。たくさんの絵本の中でも、ひときわ目立つ絵本がかこさとしさんの「秋」でした。
昭和19年、かこさんが高校生の頃に体験された太平洋戦争のお話です。紙芝居として書かれていたものの絵本としては未発表だったそうで2021年についに発行されました。
すてきな秋をとてもきらいになったとき。日本の戦闘機から落下する飛行士。実際に目にした光景とは違う報道。明るくて元気な人たちを次々と殺す戦争。武器を作るくらいならみんなの生活がよくなることに使ったら。
戦時下に国民の意思が何ひとつ尊重されないストレスが、語り口調の変化で表れていて怖いほどです。
私が一番気になったページは、病院の先生に召集令状が来た時のやりとりです。
「いやあ、こっちは大丈夫だけど、君たちのほうがやられちまうからな。」と、ゆかいそうにカラカラわらいました。つきそいのおばさんも、看護婦さんも「ほんまに、そうやわ。」と、笑いました。
「秋」かこさとし より引用
おそらく、私も笑うだろうな。と、思います。「ほんとだね。」と。
戦争に行く、行かない、でどうの。と現代では語られがちですが、戦争に行くも行かないも「招集令状」が来たのです。笑うしかありません。
やられちまう君たちの方は、敵の攻撃でやられてしまうのか、病気でやられてしまうのか、貧しさでやられてしまうのか、悲しみや憎しみで心がやられてしまうのか、いずれにしても「君たちのほうがやられちまう」と思わない限り、戦争に駆り出される理由が見当たらないのだと思います。
だれがいったい、戦争で得をするというのだろう。
「秋」かこさとし より引用
今、この時代にあらためて思うのが、得をする人は戦争に行かないという事です。みんなの生活をお金に換算して上がりが出るから戦争をするのでしょう。どれだけ昔に遡ってもだいたいそうだと思います。
実りの秋、美しい秋、澄んだ冬、パステルカラーの春、子どもたちの駆けめぐる夏。そういう普段の生活がいつまでも守られるように、子どもたちに平和な季節をつなげていけるように。と、私も切に願います。
おわり
守りたい家族がいる。だから戦争に反対できないかもしれない。
先日インターネット上の書き込みで見かけたフレーズです。一部の切り取りなのでその書き込みについてどうのという話ではありませんが、時代の流れなのでしょうか、大人が語った言葉を子どもがそのように解釈したようなので、危機感を覚えました。
もし、目の前でまさに殺すか殺されるかとなった時でも「反対だ」と言わないといけないと私は思います。「戦争に反対だったら殺される」というのは単純すぎます。殺すなら「戦争に賛成」というのも単純すぎます。
戦争に「賛成か反対か」。
大人が子どもへ語るとするなら、その問いにはいかなる状況でも「反対だ」と言わないといけないと思っています。戦争は無くならないものかもしれないけど肯定や受容をして良い理由はどこにも無いのです。
戦争は絶対にしてはいけない。
たくさんの先輩がそう教えてくれています。絶対にしてはいけないものなのです。
ほんとにおわり。
さいごに、うちのおばあちゃんも「戦争はだめだ」と言ってました。
ほんとにほんとにおわり。
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