タイトル:あべ弘士のシートン動物記「オオカミ王ロボ」
作:あべ弘士
原作:E・T・シートン
ISBN:978-4-05-205066-4
発行:学研プラス
あべ弘士のシートン動物記「オオカミ王ロボ」を読んで
シートン動物記の「オオカミ王ロボ」は何冊か読んだことがあります。そのたびに辛いような憎いようなどうもスッキリしない気分になりました。正直に言うとあまり好きな話ではありません。
ですが、絵本の「オオカミ王ロボ」がこちらを見つめているではありませんか。しかもあべ弘士さんの絵です。ロボが「読め」と言っているかのようでした。なので借りました。
このお話はアメリカの平原で家畜を食い荒らすオオカミの群れと、それを仕留めようとする人間のお話です。群れで一番大きくて賢いオオカミがロボでその妻がブランカです。どんな罠も見破り群れを守るロボでしたが、妻を仕留められてしまい自分も命を落とします。人間も動物も命がけなので私としては「そうなんだ」と受け止めるのみです。
家畜を守るためにオオカミを駆除するのはしょうがない事ですが、そのオオカミには人間と変わらない命があるのです。それをどこか無いものとして目をつぶっているのが私なのですが、シートンはロボを対等に思いながら殺すところが、「それが現実」だとしても感覚的に嫌な気持ちになります。嫌な事を考えさせられます。
しかし、やはりあべ弘士さんの絵本は高級感があって大好きです。ページをめくるのが楽しいです。この「オオカミ王ロボ」も一瞬で引き込まれてしまいました。シートンがカランポーの平原に到着したページが一番好きです。目の前に広がる大自然に、行ってもいないのに「帰ってきたな」と思います。そして堂々と生きるロボの姿がかっこいいなと思いました。
おわり
おわりのあと
お母さんならだれでも、本棚に並ぶ本のデザイン性は気になりますよね?「シートン動物記」は一度は子どもに読ませたい本ではあるけれども、なんだか表紙がちょっと受け付けない。。。という感じでいまいち選べない気持ちなら、分かります。
そんな中、装丁から文章の口調や内容で「一番良いな」と思った本は、童心社のシートン動物記(図書館版)なのですが、これもちょっと気分によっては読み切れない事も想像される文章量です。
そんな時に、この「あべ弘士のシートン動物記シリーズ」はとても良いと思います。まず、絵本として魅力的な事とお話も十分つたわる内容だからです。もしかしたら「創作のお話」と思う子もいるかも知れませんが、それは後から「シートンの動物記なのだ」と知る日も来るでしょう。
まだシリーズとして数冊しか出ていないようですが、「キティ」が出たら絶対に買おうと思います。リスのやつも読もうかな。
そう、そういう良さがあります。あれもこれも読んでみようって思う良い絵本だと思います。
ほんとにおわり