タイトル:14ひきのさむいふゆ
作:いわむらかずお
発行所:童心社
ISBN:978-4-494-00627-4
「14ひきのさむいふゆ」をよんで
おとうさん おかあさん
14ひきのさむいふゆ いわむらかずお より
おじいさん おばあさん
そして きょうだい 10ぴき
ぼくらは みんなで
14ひき かぞく。
この一文を何度読んだかわからないです。14ひきのシリーズは眠る前によく読みました。読むたびに、うらやましくなったりやっかんだりしてしまいます。
14ひきのさむいふゆは、寒い冬の一日のおはなしです。おうちの中は暖かく家族が集まって過ごしています。遊び道具を作ったり、おやつを作ったりしながら、みんなでテーブルを囲んでいます。ゆきがやんだらみんなでソリ遊び。
小さい子から大きい子まで、みんなそこにちゃんと居るところが私の生活の中ではあまり無いことです。
私の家にはおじいちゃんから妹まで6人いますが、みんなが揃うのは元旦くらいです。わざわざ全員そろうのが白々しく感じる一番嫌いな日です。
この絵本は暖かくて賑やかで心が家についたような気分になるのですが、そういえば自分がこういう体験をしたわけではないことに気が付きます。想像の中の幸せな家族がここにいます。そうなりたいわけではないけど、やっぱり居心地が良いのはこういう空間なんだろうと思います。
私の家では、雨や雪が降りそうな日のために、何かしら暇つぶし用の遊びが用意されています。雨が降り続いたり、雪が降り続いたりしたらもう何もすることがありません。
このねずみたちの住む場所では、これからまた雪が降るのでしょう。でも、きっとずっとやることがたくさんあるんだと思います。
よく考えると、私は「自分の事は自分でやりなさい」とは言われてきたけれど、「みんなの事をみんなでやろう」とは言われた事がありません。きっと、そこが私の家族と違うのだと思います。「みんなの事をみんなでやる」というのは学校くらいかもしれません。
学校だと「みんなでやる」とは言っても、本当にちゃんとやる人から全然何もしない人、果ては妨害する人までいますが、それでも一応「その日」は過ぎます。そうやって何年か過ごして、いい思い出だったり悪い思い出だったり色々なものが心に残ります。
このねずみの家族のあたたかさは別世界のもののように思うけど、学校生活の良い思い出だけツギハギにすれば、少しだけ得られたもののように思えて、あんなに面倒だった学校も通った意味はあったのかな。と、思います。
家族である必要はなく、ただ、「みんなで取り組んだ思い出」は、心のよりどころになるんだと思いました。
おわり