「にじいろの さかな」を読んで

投稿者: | 2020-01-10

タイトル:にじいろのさかな
作:マーカス・フィスター
訳:谷川俊太郎
ISBN:4-06-261951-2

「にじいろの さかな」をよんで

この絵本を読もうと思ったのは、前に「年少版 にじいろのさかな」を読んだ時に納得がいかなかったからです。

「年少版」では、「どうして自分のウロコを他人にあげないといけないんだ?」「くれと言われたものはあげないといけないのか?」と、疑問だらけだったので、子どもにも読み聞かせはしませんでした。見返りがなければ仲間外れにするような他の魚を卑しくさえ思ったものです。

ですが長く広く読まれている絵本です。「まさかそんな話なわけはない。」とも思っていました。月日は流れて今、ちゃんと読むことができて疑問が晴れました。

「にじうお」は、自分の美しさをひけらかすだけで他の魚との交流を持たず、美しいウロコを持たない魚を見下しています。ウロコをねだる「ちいさなあおいさかな」を恫喝する様子は、完全にアウトだと思いました。

「にじうお」は、たかられていたわけでなく、高慢ちきだと嫌われただけでした。

嫌われて初めて、周りから「好かれたい」と思うようになります。そこに再度訪れた「ちいさなあおいさかな」。ウロコをあげる決断をする「にじうお」は、「ともだち」を取り戻すことができて幸せを得ます。

持って生まれた物を自慢して他人を見下すものではありません。「ともだち」は大切です。「ともだち」とすごす時間は1人でいるよりずっと幸せです。

どうでしょう。まぁまぁ良いお話なのかな。と、思います。

やはり「にじうお自身」が変わるには「ウロコを捨てる」必要があったかもしれません。でも、だからって「くれ」というから「あげる」のもちょっと。。と、少し思います。モノをあげたら相手が喜ぶ姿を見て幸せを知るって少し可哀そうに思います。本当は、はじめから「にじうお」が「ともだち」と一緒に遊んでいればよかったんでしょうね。

もし、これが「傷を負った魚の手当のためにウロコを差し出す」とかであれば、幼少期の我が子に読み聞かせたであろうと思いました。

おわり

あとがき

「にじいろの さかな」は表紙に惹かれますよね。表紙だけでなく全体の絵のトーンがとても綺麗です。特に赤ちゃんを育てているママさんには癒し美術品の如く感じると思います。だって、他の絵本が原色でクドイんですもの。

だから「幼少版 にじいろの さかな」を買ってしまう気持ちはわかります。買いやすいところに置いてあるんですもの。でも、でも、買うならばこちらの版をオススメします。

ただお話の内容としては、小学生向きのように思います。なぜかというと「道徳」のように読んだあとに考えさせられるからです。「私はこう思う」「ぼくはこう思う」と議論しあえる本です。

もっともっと小さい子に、色彩が美しいからという理由で本を選ぶならば、私はいわむらかずおさんの「14ひきのシリーズ」を推します。まずは「14ひきのあさごはん」かな。

ほんとにおわり

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