始めに、少し本の内容紹介から引用します。
(<-Amazon)八月、夏休み
八月のひかり(中嶋信子、汐文社)
五年生の美貴は、働くお母さんのかわりに料理や洗たくをして、毎日を家ですごしていた。
美貴には、夏休みに遊ぶような仲良しの友達はいない。
学校でも、だれとも友達になりたくないと思っていた。
それには理由があって・・・・・・。
「八月のひかり」をよんで
少しずつ、この夏の本が図書館に戻り始めたのか、新しい本が借りやすくなってきました。
この本をパラパラとめくっていると、「母子家庭」だけではなく「お姉ちゃん」として母親を助けざるを得ない様子に、いらつきを感じたのできちんと読んでみようと思いました。
主人公は小学校五年生の美貴です。
母親は、働かずに暴力を振るう父親と離婚をし、小学校二年生の弟と三人暮らしをしています。
母親はスーパーのレジで働いているけれど、十分に稼げておらず、家族はお腹いっぱい食べる事もできていません。
美貴は生活に不満を持ちながらも献身的に母親を助け、家事や育児、
そうです、弟を育てています。
美貴のお母さん自身が貧しく不幸な子供時代を送っていたようですが、その時の暮らしぶりや、現在の暮らしや離婚のいきさつなど、お母さんの愚痴聞き役を担わされてきたのが、長女の美貴です。
弟は二年生とはいえ何も知らずに能天気です。
美貴自身、反抗期に入っているのでしょう。
「お母さん」に対しての恨みはまだ無いようですが、お腹を空かせながら毎日の生活に追われる事にはっきりと不満を持っています。
そして、かわいい弟を憎々しく思う嫉妬心も抱えています。
印象に残るのは、母親が常に「優しい」ことです。
ありがとう、ごめんね、と言って、美貴を支配しているように見えるのです。
「あああ、お母さん情けないなあ。あなたたちを十分に幸せにできなくて」というお母さんの言葉に、
(とっても幸せだよ)と、言えない自分が、嫌いになりそうになった。
お金が無いだけでなく、娘の良心まで搾取している「お母さん」に、
私はうんざりし通しです。
これだけで充分すぎるほど美貴にとって悪い環境なのですが、さらに重大な問題は、勉強できていない事です。
宿題が手につかないだけでなく、会話の中から学力の低さがうかがえます。
これでは、自立さえ故意に阻んでいるように見えます。
お話の最後では、弟の友達家族が、美貴と弟を海に誘ってくれます。夏休みにお出かけが出来ない事や、きっと、他所から見れば「助けが必要な姉弟」と分かるのだと思います。
美貴はすぐに「行く」と決められないのですが、、、
もう五年生です。
「田端美貴さん」という1人の人に対して、「行きましょう」と自分の心で誘う事ができます。
良かったなと思いました。
たしかに「ひかり」だわ。と、思いました。
美貴は、やっと自分の人生を歩きだすのでしょう。
そうでなければ、救いようのないお話でした。
このお話は、「貧困の連鎖」や「毒親」を扱っています。
さて、このまま、美貴が自分の人生を歩き続けられるでしょうか?
私は、相当難しいと思います。
なぜなら、短絡的な母親がいるからです。
この母親は、貧しくとも慎ましく礼儀正しく家族で助け合って生きているつもりなのだと思います。
そこで、美貴が自立しようとしたらどうするでしょう。
裏切られた気分になるのではないでしょうか。
母親は全力で美貴の自立を阻むと思います。
この母親なら泣き落としか恨み節でしょう。
全力で逃げろ。美貴。
と、
まずは思うのですが、
それと共に、大人は助けの手を差し伸べ続けなければならないと思いました。
おわり
タイトルː八月のひかり
作ː中嶋信子
出版ː汐文社
ISBNː978-4811326061
現代の日本では、十七歳以下の子供の七人に一人、およそ二七〇万人が貧困状態にあります。
八月のひかり(中嶋信子、汐文社)
さて、恒例のつらつら語りコーナーです。
この本は、このブログを読んでくださっている方には是非読んでいただきたい本です。
私は、この母親はどうしても素直に助けたいと思えないのです。
うがった見方をしてしまうのですが、、、、
どうでしょう。
子ども達は、クラスメイトに「くさい」と言われるほどに不衛生なのでしょう。
なのに、
母親は、同じ生活をしているのにスーパーのレジで働ける??でしょうか?
食品を扱う最前線です。
私は、どこかでお風呂に入っているんだと思います。
食生活について、どう思われますか?
確かに子どもはお腹が空いているかもしれませんが、毎日四合のお米を炊き、おかかオニギリを作っています。(うちは二合です)
朝は食パン3枚ずつ子どもに食べさせようともします。(うちは2枚です)
かと思うと、鶏のむね肉を2枚いっきに使いだします。(うちは1枚です)
何だかとりあえず、食べ方がおかしいだけで、
この一家はしっかり、食べられるような気もしてくるのです。
どうしてかと言うと、
ソースやマヨネーズや砂糖を、「今日はいいか」と見送るような日は、我が家にもあるからです。
母親の持ち物について、どう思われますか?
財布だかバッグだか忘れましたが、3年使ってくたびれた物を使っているようです。
でも、それもその程度なら普通だと思いませんか?
どうやら、自分だけ、必要とはいえ、自転車もあるようです。
おそらく、本当に経済的に困っているのでしょう。
そして、女性が稼げない社会についても問題だと思っています。
でも、この母親に関しては、変だと思ってしまうのです。
どうして、スーパーの店長さんを「優しい、優しい」と子どもに伝えるのでしょう。
どうして、お友達のお父さんがフライドチキンを買って来たからって涙を流して「スーパーの店長さんより優しい」と、子どもに言うのでしょう。
このお話の、その後、のお話、
どなたでも想像するでしょう。
最後、主人公は自分の道を歩こうと決心している事には間違いがないでしょう。
でも、まだ子供です。
一見、優しそうなお友達のお父さん。
どうして、どうして、近所にも関わらずに車でわざわざ来たのでしょう。
どうして、どうして、わざわざ、美貴ちゃんの海水浴の服装まで気を配るのでしょう。美貴ちゃんならスクール水着くらい持っているはずです。
どうして、お母さんを除く子ども2人だけ海水浴に連れていくのでしょう。
一見、優しいようでいて。
本当に優しいなら、フライドチキンなんて買ってくるでしょうか。
お友達のお父さんの離婚理由は本当でしょうか。
美貴ちゃんは、一度、信頼したものにひどく失望させられるのではないでしょうか?
わたしは、このお話は、絶望の中に「ひかり」を見つけ出す子どもの健気さを表していると思います。
でもそれを、いつまでも何度でも踏みにじる社会にあると思えてしまうのです。
美貴ちゃんは、早くに子どもを産み、祖母のようになるかも知れません。
そして、母のように母に仕返しをし続けるでしょう。
これで良いのでしょうか。
私は、子どもが本当の意味で救われるには、義務教育の段階から「自立」のための教育だと子どもに強く伝え続ける事が必要だと思います。
優しいだけが、良いのでしょうか。
優しい人は良い人なのでしょうか。
親は正しいわけでない。子供は知ってしまいます。
私は、
子どもが子どものうちに自分でできる護身術は読書にあると思いました。
美貴ちゃん。海から帰ってきたら図書館に行きなさい。
ほんとに、ほんとにおわり。
ピンバック: 10万円給付対象外なので20万円使わない事にした。 – ママノトショ
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